小売業同士のタイアップ企画相乗効果大
- 金谷 秀則
- 2022年6月21日
- 読了時間: 7分
更新日:2022年6月22日
衰退傾向の店舗小売業が、これから再度発展する上でのヒントになればと思います。

小売り業は一般の商店から、ショッピングセンター、スーパーセンター、アウトレットモール、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ホームセンター。そして小売業としては特殊なガソリンスタンドがあります。インターネットショップも含まれます。
今回は、インターネットショップを外したリアルの部分で書きたいと思います。
これは執筆者の私自信の実体験でもありますが、とある石油元売販社のGM職にいた頃の話です。
その頃は改装やイベントが続き、企画会議を繰り返していたのですが、出てくる案はありきたりな物ばかりでインパクトに欠けるものばかりでした。

私の中でのイベント企画の定義は、とにかく【他ではやらないこと】でした。
全国各地を見渡せば、同じような企画をしている会社もあると思いますが、商圏というのがありますので、その中で【目立つ】こと。とにかく【インパクト】です。
しかし、SS(サービスステーション)の箱の中だけでは中々アイテムも少ないので難しい、そして取引のあるイベント会社はありきたりのつまらない、めんどくさい内容でとんでもない見積を出してくる。マーケット調査も私から言わせれば適当なものでした。わざと複雑にして難しい仕事してる感をかもしだしてるのが見え見えで(笑)
結局その時は大半私の企画を通しました。
私の懐にもしまっていた【大型店異業種タイアップ】です。
私が過去にタイアップしたのは下記の通り
・ヨークベニマル、イトーヨーカドー(スーパーマーケット)…お店と同一商圏にある店舗
・アウトレットモール(メゾンカイザー)※テナント
・ホームセンタームサシ(郊外大型ホームセンター)
何故タイアップしたのか、その理由は集客力の違いです。桁が違います。
そしてモータリゼーションの進展です。
SSの1日の来店台数は、多くても700台程度です。多くてもです。
しかし、上記の3店舗は1日2,000~4,000人が来店します。
そことギブ&テイクが成立する企画を作りました。
初めにに店長、もしくは相手方のスーパーバイザーに企画と目的を説明し、【お互いにメリットがあること】を理解してもらいます。

そして、例えばチラシ。レジで1日配布すると最低2,000枚は配布可能です。それをお願いするんです。
これをポスティング業者に頼むと単価はこんな感じです。
・ローラー配布⇒@4.0円
・集合住宅限定配布⇒@5.0円
・一戸建限定配布⇒@9.0円
平均的には@4.0円くらいでしょうか。(某ポスティング業者)
ということは、本来8,000円/日がゼロ。
そして配布を2週間頼むと、仮に平日のレジ通過客が2,000人、週末が3,000人だとすると32,000人ですね。金額にすると4円×32,000=128,000円のコストがゼロになります。
このコストを他に充当することが出来ます。
しかも、配布してくれるのはイベント店舗の近隣で、時期はイベント前です。ローラー配布とどちらが効果あるでしょうか。
そしてあくまで【ギブ&テイク】ですから、ノベルティは相手方から購入するんです。
気前の良い店長やスーパーバイザーだと、普段取引している業者並み、もしくはそれ以下の値段で出してくれます。しかも品揃えは数千アイテムあります。
まあ、数千アイテムあるとは言え、あくまでお客様の為のノベルティですから、ある程度カテゴリーは決まってきます。【生活必需品】がセオリーですね。
ただ、生活必需品以外でお客様にとても支持されるノベルティがあります。
それは【食パン】です。ある意味、常に家に常備しているので生活必需品と呼べるのかもしれませんが、SSのイベント企画の中で【食パン】の支持は物凄く高いです。

削減できたポスティング費用を食パンのグレードアップに充当しました。
ヨークベニマルとのタイアップ時は【モンテローザ】の朝一の焼きたてを限定200斤×3日間指定させて頂き、【メゾンカイザー】の時も同様、毎朝200斤×3日間お願いしました。
最終的にはそれぞれ800斤~1000斤になったと思います。
チラシは当方で作成しますが、表面はイベント企画の内容。裏面は相手方の告知スペースにします。イベントの内容は、複雑にしなければA4片面で十分お客様に伝わります。
チラシのレジ配布は、レジ袋やエコバックに入れてもらうだけなので、相手方にもなんの抵抗もなく承諾してもらえます。
ここまでで、何を伝えたいか。
・ポスティング費用がゼロになる(他の販促費に充当できる)
・チラシ配布客はイベント店の商圏内で買い物をしている(ついでに…が発生しやすい)
・マンネリ化したチラシをグレードアップ(インパクト効果・ブランディング効果が出る)
※チラシに相手方の店舗ロゴマークを使用できる
※メゾンカイザー等の有名店のロゴはチラシにインパクトをあたえる
※情報発信量も増え、お客様にお得な情報をより多く提供できる
チラシや企画は、まずはお客様目線。よくありがちな【自己満足】は結果が出てからです。
過去にこんなことがありました。
SSではタイヤも販売しています。

私は部下のマネージャーとタイヤのイベント企画を考察中でした。
そこで、商圏内の大型ホームセンターとタイアップをすることにしました。
まずは、企画書を準備し、先方に連絡。
対応してくれたのは店長さんでした。先方にお願いしたのは、正面入り口の約5台分の駐車スペースを借り、イベントテントを設置し、予約会の開催でした。勿論、ギブ&テイクですから、チラシ等は先程記載した通りお願いし、承諾を頂きました。
そして驚いたのは、店長から言われたことです。
「やるなら中途半端にやらないで欲しい。とにかく盛り上げでください。たとえそれでクレームが出てしまっても構いません。中途半端なら、場所代50,000円/日もらいますよ。」
お金の話は半分冗談でしたが、要望は本気で、クレームが出るくらい人を集める、そのくらい盛り上げてほしいという要望でした。
まず、私達の構想は、集客力のある商業施設での企画の効果測定です。集客はあるものの、お客様の目的はホームセンターです。タイアップして、場所を変えることで、どのくらいのお客様が足を止め、商談、見積、成約まで至るか…でしたが、そこから方向性が変わりました。
私は、当方マネージャ―には通常のイベントツールを最大限充実させることを指示しました。同様に、参画するタイヤメーカー数社にも同様のお願いをしました。
私も含め、準備した備品は下記の通りです。
SSイベントツール・大型テント3・商材(タイヤ・アルミホイール)・拡声器・大型モニター・スピーカー・PC・DVD・ラジコンコーナー・輪投げコーナー・ガチャポン・着ぐるみ
お菓子・その他ゲーム類。
そして人員配置はタイヤコーナーに3割、アトラクションコーナーに7割配置。

タイヤを売るのではなく、来場いただいたお客様に楽しんでもらえればそれで良し…!という取組内容でした。週末ですので勿論7割近くがお子様連れです。
結果、どんな状況になったかというと、スタッフはアトラクションコーナーで子供達とほぼ遊んでいました。私は大型モニターを使って、もちろんCMも流しましたが、子供向けの映像も流しました。音量も来客状況により調整し、閑散とした時は店内に聞こえるくらいの大音量で映像を流しました。そして用意した拡声器でイベント開催のアナウンスを繰り返し叫びました。

すると先方の店長が、店内アナウンス用の携帯電話を私に預けてくれました。30分おきに店内にむけてイベントの内容、特典、アトラクションの内容をアナウンスすると、数分でお客様が集まってきます。イベントは10時から19時。
一番大変だったのはアトラクション担当していたスタッフだったと思います。子供好きの女性スタッフを中心に担当してもらったのですが、さすがです。最後まで変わらぬ笑顔でした。
さて、本来の目的のタイヤ販売というと、いつのまにか夕方前には200本を超えていました。SS内でイベントをしても、一番売れる時期でも100本/日です。
しっかり【担当分け】をして、担当毎の目的を明確にし、私と当方マネージャ―以外は担当以外の事は一切気にせず、役割を全うするように事前に指示していました。
夕方、19時前になるとラッシュです。先方の従業員さんも仕事の合間に来てくれました。
そして予定の19時を過ぎ、最後のお客様をお見送りした頃には、参加スタッフ全員が疲れ果てていましたが、みんな笑顔です。
「SSイベントの10倍疲れたけど、めちゃくちゃ楽しかった」
私もです。タイヤは売れに売れたけど、何に一番気をつかったかというと、【店内アナウンス】です。噛めませんからね。しっかり裏で原稿を書いてはじめは読んでいましたが、慣れてくるとアドリブを聞かせて笑いをとってみたりと。楽しかったですよ。
最後に、先方の店長が来て、
「クレーム出なかったな~ダメだな~!でも、お客さん達みんな楽しんでくれたよ。店内でも話題になってたよ。ありがとう!タイヤも相当売れたみたいだしね!明日もたのむよ!」
当方としては、みんなヘトヘトでしたが「喜んで!」ですよね。
翌日は、前日の反省点を生かし、徹底して【アトラクションの充実化】を図りました。
アトラクション担当も増員。費用対効果も予想以上。
メインのタイヤは
さらに…予想におまかせです。
最終的に何が言いたいか…おわかりですね!

ご閲覧、有難うございました。
Comments