- 株式会社アン・リテーリング
小売 サービス業・重い間接コスト
更新日:2月10日
クライアントの販売実績、月次決算書や分析資料を作成していると
まず大きな問題は人員の不足です。
ひとりにかかる業務量があまりに多く、過重労働となっているケースが非常に多い。
生産性の向上には繋がっていますが、ミスや事故のリスクが日常業務の中で多く見られます。

そして、最近の物価高が原因で売上高は上がっても、仕入原価を売価に全て転嫁できないので売上利益率が下がる。結果として労働量は上がっても収益は横ばい。
店舗によっては前比減となってしまっていることも。

店舗にかかるコスト⇒直接経費
人件費、電気代、設備代、店舗維持費(修繕費)やリース、雑費、減価償却費、家賃地代・・・
店舗の営業努力により、直接コスト削減に至っている小売店がほとんどです。
やはり、いくら売上高があがっても、収益減は最小限にとどめたいところ。
物価高の仕入原価上を100%売価に転嫁することは現状困難。
結果、お店単体の営業損益は黒字の店舗が徐々に増えてきました。
コロナの反動もひとつの要因でしょう。
しかし、最終の会社経常利益は赤字になります。
その要因は【間接コストの増】
全てのクライアントではありませんが、全体的な高齢化で管理職が増えている、中には新たな役職を作るということも・・・これは支持できません。
間接コストは、非生産部門の経費です。
ここが原因での赤字は、私にとって悔しいと感じる部分です。
必要な間接部門は必要だと思います。その場合は結果赤字でも、それは妥当だと報告します。しかし、不必要な間接コストをかけている場合が散見されているのが現状。
ある数名のクライアント(社長)は、間接コストの削減として、思い切って背広組の役職者を現場に異動させました。勿論、役職者本人納得の上です。
人員不足の現場にとっては、最初はやりずらそうな雰囲気でしたが、1週間もすると異動した人も慣れ、うまくお店は回るようになりました。

あくまで小売業の主役は現場です。
非生産部門が原因で赤字決算になるのであれば、上記の社長のような判断が必要です。
厳しい言い方ですが、現場経験のある役職者を現場に異動させ、その現場で機能しなければ、降格人事に踏み切る。
人事もフレキシブルな動きで行えば、生産部門の従業員さん達が報われるケースが多くなるでしょう。良き役職者は、危機的状況の時は従業員と共に働き手本となり、的確な指示、アドバイスを行うことで、店舗をけん引することができます。

上記の判断を行った社長とヒアリングをした時は、本当にこの人が、誰よりも一番に全社員のことを考えていると、私は感じました。
実際、経営者には中々現場の情報が入りにくい場合が多いのです。非生産部門の役付けが無駄に多いと、会社の風通しは悪くなります。ほぼ100%。

間接部門、間接コストの見直しは必須です。
小売りの現場は、全社共有のもとに運営する、時には社長自らが接客する、従業員をねぎらう…等、従業員のモチベーションの向上、そして現状に合ったガバナンスの構築が必要です。感情を入れず、目の前の実態、事実ベースで柔軟な判断をすることです。