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  • 株式会社アン・リテーリング

小売業界の課題 店舗のDX化・ECとの連携は必須 再掲載


多くの店舗を運営し、消費者の生活を支えている小売業。コロナ禍で消費行動に大きな変化が表れた今、小売業は大きな変革を迫られています。消費者ニーズの変化に合わせた新しい顧客体験は、どうあるべきか。そのヒントをDXで探ります。




小売業界の現状と課題

消費者が店舗に足を運び、並んでいる商品を手に取ってみて、気に入ったら買う。この当たり前だった消費行動は、いま大きな変革を迎えています。そしてその余波は小売業界を直撃しています。


大量生産と大量消費を背景とした高度経済成長の時代は、モノを作れば売れていきました。所得が右肩上がりの中では、モノを買って所有すること=豊かな生活というイメージが浸透していたからです。

しかし全世界的に循環型社会へのシフトを迫られることになったいま、新たな消費のあり方を考えるようになっています。また消費者個人に目を向けると「若者の〇〇離れ」という言葉が示すように、モノを所有するよりも利用する傾向が強くなりました。ローンを組んで自動車を購入するよりも、カーシェアリングを利用する消費者が増えています。 様々な要因を背景にした、この「モノが売れない」時代を、小売業界はどう乗り切ればいいのでしょうか。外部環境の変化に対応し、新たな商機を生み出すヒントを、DXという観点から考えてみましょう。




小売業界が直面している現状とは


小売業界といっても業種・業態によって様々です。しかしその垣根を飛び越えて、多くの小売業界は下記のような現状に直面しています。



① ニューノーマル時代の消費者行動の変化(消費者の選択肢の拡大)

長引くコロナ禍の中で、人々の生活は大きく変わり、マスクやソーシャルディスタンスを意識する「ニューノーマル時代」を迎えました。外出や移動を控える緊急事態宣言を契機に、店舗に足を運ぶことなく商品を購入できる、ネットショッピングが幅広い世代で拡大。さらに紙幣や硬貨を通じた接触を避けることができる、キャッシュレス決済も浸透しました。




② 人員の削減と人員の不足

小売業は、いくら求人を出してもなかなか人が集まらないと言われています。24時間年中無休の店舗は消費者にとって大変ありがたい存在ですが、それを支える人達は厳しい環境に置かれています。長い勤務時間、土日出勤、休日が不定期、低賃金と社会的地位の低さなどが人材不足に拍車をかけています。




③ EC⇄リアル店舗の変容

消費者の購買行動の変化によって、店舗だけではない商品との接点が求められるようになりました。以前と同様、店舗で実物を見てから買いたい顧客も根強くいる一方で、ECサイトですべて完結させたい顧客もいます。また店舗で実物を確認してから、ECで購入するというスタイルも浸透しつつあります。

このように様々な変化に直面している小売業界ですが、ここでコロナ禍に主要小売業はどう対応したのか、その動向を振り返ってみてみましょう。



スーパー:外出自粛で大型ショッピングセンターや百貨店からスーパーに客が流れ、テレワークによる巣ごもりもあって売上が上昇もやや伸び止まり。2021年からはネットスーパーへの取り組みを行い、事業強化を図るところが増えています。

家電大型専門店:特別定額給付金の支給で業績が一時的に伸びたものの、日本の人口低下や世帯数の減少もあり、緩やかな減少傾向にあります。こうした状況を受け、家具やリフォーム、酒類の扱いなど、今後を見据えて模索をしているところです。



ドラッグストア:買いだめ需要が追い風に。医薬品・化粧品・日用雑貨・食品と4分野での中でも食品需要が活発化。行動緩和により調剤薬局併設店の都市部の店舗の客足も回復傾向になりつつあります。


コンビニ:行動制限が緩和され、繁華街の店舗は回復傾向。「Go Toトラベル」などのリベンジ消費を狙って、スイーツや惣菜などのプチ贅沢商品に注力しています。



外食:時短営業の解除により、ファミリーレストランへの客足は徐々に戻りましたが、アルコールの入る宴会等は避ける傾向にあるため、居酒屋などではテイクアウトや宅配、ランチ営業など、販売の拡充を行っています。







百貨店、アパレル:自粛解除に伴い、外出の機会が増えてお出かけ着の需要が増え、客足が戻りつつありますが、在宅勤務の浸透でスーツなどのビジネスウェアの売り上げは今ひとつ伸び悩みを見せており、厳しい状況が続いています。







小売業界が抱える課題


次に、前述の小売業が抱える現状が生み出す、それぞれの課題をみてみましょう。



① 消費者の求めるスタイルに沿った、購買環境の整備

ニューノーマル時代を契機に、消費者が求める購買環境は拡大を続けています。多くの小売業では、店舗とECサイトを購買の中心に置きつつ、いかに商品情報を顧客に届けるかという新たな手法が議論されています。顧客1人ひとりとつながる自社アプリ開発、スマホの映像通話システムを活用した一対一での商品提案、インフルエンサーが商品を紹介、その場で注文を受け付けるライブコマースなど、主にデジタルを舞台とした手法が注目されていますが、それを可能にする事業の多角化が求められます。



② 人手不足に応じた、店舗業務の効率化

慢性化した人手不足の中では、店舗の人員を削減せざるを得ず、従業員の負荷を増やす悪循環に陥ります。それを打開するひとつのヒントは、ECサイトに蓄積された購買行動データを店舗の業務軽減に活かす視点です。店舗とECサイトの双方が連携する強みを活かし、店舗を支える人員の負荷を減らす業務効率化が求められています。




③ ECとリアルを連動させ、機会損失を防ぐ

ECサイトを導入しても、店舗と別なものとして運営している小売業は少なくありません。顧客の購買体験の中で、店舗とECはシームレスにつながっています。店舗とECを別個にとらえて売上アップを目指すのではなく、顧客の購買体験という観点で全体像をとらえることが重要です。その上で両者が連動した在庫管理やマーケティングを行うことが、機会損失を防ぎます。



小売業の課題はDXで解決できる?


では小売業が抱えるこれらの課題は、どうすれば解決できるのでしょうか。そのヒントはデジタル化と企業変革の同時進行=DXにあります。手に取ってその存在を感じられる「商品」を扱う小売業は、商品との接点である店舗を切り捨てることはできません。会社にとって貴重な資産である店舗の価値を再確認し、それを損なうことなくデジタルの力でバージョンアップさせる、新たな時代の取り組みをみていきましょう。



ちなみに当社では【アン・リテールims】という屋号を使い、無店舗ですがトライアルでYahoo!サイト内でリユース品を販売しています。


手には取れないので情報を詳細に記載し、画像もより多く掲載しています。そして何より購入側にはYahoo!独自のポイントがあり、そのポイントで相当の方が購入されました。こちらとしては無償の顧客メリットです。


そして相当数の商品が掲載されていますが、抽出機能も充実しており、機会損失もサイト内では最小限で、購入者(落札者)と販売側双方に対し評価機能も付加されており、特に販売側の評価が下がれば、買う側から選ばれません。



「ネットは安くしなければ売れない」とよくありますが、それなりの値付けをして他より高くても販売に繋がったケースも相当ありました。


そこを窓口に自店ECサイトへ流入する導線もあり、取り掛かりのひとつになるのではと感じています。何より「簡単で誰でもすぐに取り組める」のがサイトの大きなメリットで、サイト内でショップ化してしまい、取扱い商品によっては実店舗とECの間をつなげる役割にするという考え方もあります。顧客情報データは取得出来ませんが売上をCVSデータ化する機能もあり、ひとつのリテールデジタル機能・ECビジネスの研究材料にしています。






小売業が生き残るには「店舗DX」がカギ


店舗DXという言葉にあるDXは、デジタルトランスフォーメーションの略です。デジタル化が新たな時代の成長を促すとして、経済産業省が中心となり、国を挙げて推進しているキーワードです。DXは世の中に存在するありとあらゆるものが対象になりますが、店舗DXといった場合、小売業が持つ店舗の課題を解決するために業務変革を伴うデジタル化を指します。


店舗のデジタル化というと紙の伝票をデータにする、在庫管理をサーバーで一元化するなど、様々な取り組みが考えられます。しかし成功する店舗DXの鍵は、単なるデジタル化ではなく、業務変革や顧客接点変革を伴うことにあります。




小売業界の課題を解決するデジタル化とは



店舗DXにおける業務変革の取り組みとしては、どんなものがあるのでしょうか。多くの小売業が抱える課題を解決する店舗DXとして、業種・業態を問わず取り組めるものは下記になります。


① レジ業務の効率化

ひとつめは、キャッシュレス化です。現金の受け渡しが必要ないキャッシュレス決済は、ニューノーマル時代に即しているだけでなく、レジ業務の負荷軽減と売上管理の効率化につながります。現在はクレジットカードや電子マネー、QRコードなど幅広い選択肢が選べるようになっています。

また購入した商品をチェックするレジ業務には、セルフレジや無人レジという選択肢があります。レジの商品登録の人員をほかに充てられるのは、慢性的な人手不足解消につながります。


② データを活用した業務効率化

店舗業務には、様々なデータが関係しています。そこで働く人達のシフトや倉庫の在庫などのデータを一元的に管理することで、必要な仕事に必要な人員を無駄なく充てることが可能になります。

店舗を多数持つような小売業であれば、すべての店舗のデータを一元化することで、いままで気づかなかった無駄が見えてくることもあるでしょう。こうしたデータの一元管理は現場を効率的に変え、生まれた余裕は働きやすい職場を醸成します。


③ ECビジネスへの対応と店舗との連携

ネットショッピングの拡大は、今後も続くでしょう。多くの小売業がECを導入する中、競合に勝つためにはECと店舗を融合した戦略が必要です。店舗とEC、双方に蓄積されたデータを分析して顧客のニーズを探り、それを新たな購買体験の提供に活かします。

例えばある顧客の店舗での購入履歴をもとに、ECサイトでおすすめを紹介するということも有効です。またECサイト上で店舗のクーポンを発行し、来店機会につなげることもできるでしょう。顧客データという観点で、店舗とECを同時にとらえることが相乗効果を生みます。



売上アップにつながる「顧客体験」とは



小売業のDXを考える際、もうひとつのヒントは新たな顧客体験の創造による顧客接点変革です。顧客体験とは、顧客と商品の間で起こるすべての体験を指します。店舗に行く、商品を手に取る、ネットで商品を知る、商品を購入する、アフターサービスを受けるなど、様々な顧客体験があります。


多くの顧客にとって馴染み深い店舗、今後拡大が期待されるEC、そして両者を融合した新たな空間、大きく分けると3つの顧客体験が考えられますが、それぞれの観点で新たな価値を創造する取り組みを考えてみましょう。


ECと実店舗の連動による顧客体験の進化


近年、消費行動の変化に応じた販売チャネルの拡大と融合が進んでいます。まず代表的なチャネルである店舗とECの特徴と、両者が融合した新しい動きを整理してみましょう。

  • 店舗 商品との物理的な接点は、購買意欲を高める。スタッフとの相談で、商品を細かく検討できる。 ネットで注文した商品の受け取り場所として、店舗を活用。

  • EC 商品との接点はインターネット。物理的な制約がないため、商品の選択肢が多く、好きな時にショッピングができる。 商品はネットで探し、選んだ後に店舗で確認してから購入する。


ウィンドウショッピングをしながら商品を選ぶより、事前にネットで膨大な商品を検討し、欲しいものを絞り込んでから店舗を訪れる消費者が増えています。これまで商品を知る場面は主に店舗でしたが、これからはネットも視野にいれなければなりません。ネットを通じて最適なタイミングで商品の魅力を伝え、店舗も活用しながら購買につなげる、新たな時代の顧客体験の設計が重要になっています。


小売業における顧客体験向上は、OMOで考える


小売業の未来を創っていく新たな顧客体験は、店舗とEC、そのふたつの融合なくしては実現できません。そしてその融合を支えていくのは、デジタル化と店舗DXになります。店舗とECの融合は、OMO(Online Merges with Offline)という言葉で表すこともできます。オフラインの店舗とオンラインのEC、両者が有機的に混ざりあうことで、新たな顧客体験を創出していきます。


OMOというキーワードで小売業をみると、そこにはネットから店舗への来店動機の創造、SNSを通じた商品情報との接点、デジタル発ブランドの創出など、これまでなかった新たなチャンスが広がっていることに気づくのではないでしょうか。



小売業界が抱える課題を解決するためには、デジタル化と企業変革を伴う店舗DXが重要


消費者がモノを検討し、選び、購入するという行為は、デジタル化が進む中でもまだしばらく続いていくことでしょう。これまで店舗で繰り広げられていた購買行動が、ネット上でも行われるようになった今、顧客と商品との接点は新たな局面を迎えています。その新しい動きをチャンスとし、成長を続ける鍵はDXにあります。そして小売業のDXの第一歩が、デジタル化と企業変革を伴う店舗DXです。

商品という目に見えるモノが持つ情報を顧客にどう届けるか。また顧客に商品を確実に、そして効率よく届けるために、これまで蓄積してきたデータの価値を発掘し、それを最大限活用する。こうした小売業の取り組みは、私たちの生活を真に豊かにするでしょう。



記事掲載・執筆 小林(アン・リテール ims リテールメディア部)



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